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飲食店の経営コンサルティング、マックスブレインから経営の勘どころ

「異常なパチンコ社会を憂える」

筆者が異常と感じる日本社会の特色がある。それはパチンコという遊びの得体の知れない魅力と言うか、まさに魔力にとらわれている人々の多さ、そしてなんと30兆円に達するパチンコ産業の巨大さである。都会も地方も、パチンコ屋のないところは、全国どこを探してもない。車社会と結びついて、巨大なパチンコホールが、特に地方に目立つ。ぎらつくネオンは、日本人のいまの欲望を表しているかのようだ。和製カジノが住宅地のそばに乱立する、こんな国は世界にない。

以前、筆者は新宿経由で通勤していた。JRから地下鉄に乗り換えるのだが、途中にパチンコ屋があり、朝8時というのに、その前に人がずらりと並んでいる。よく出る台を確保するためらしいが、それこそ老若男女が10人、20人と立ったり座ったりして、10時の開店を待っている。もっと多くの人が店を取り巻いていることもある、新機種が導入されて、その日は玉がよく出るからだそうだ。通勤や通学の黙々と歩く人々との対比で、それはまことに異様な光景と言わざるを得ない。この人たちは何で食っているのか、学生か、失業者か、どういう家庭の人なのか、奥さんや親は知っているのか、さまざま疑問はわく。スタジアムや劇場でも、開場待ちのにぎやかな列はある。だが、待つ人々のもつ雰囲気、顔つきがぜんぜん違う。パチンコ屋の前で開店をじっと待つ人たちの顔には、明るさがない。何かにとりつかれたような暗さが印象的である。

今年の日本のGDPは550兆円くらい、政府の税収が50兆円かと思うが、30兆と言うのは、とてつもない数字である。40年前、学生時代に我々が弾いていたパチンコは、勝ち負けはあったものの、まあ庶民の娯楽であった。70年代に1兆を超えたパチンコマーケットは、フィーバー機やパチスロの導入、換金方式の定着、などによって、あっという間に、10兆、20兆と増大して、ここ15年くらいは30兆前後で、微減ながらも安定している。アメリカもさまざまなギャンブルがあり、カジノも激増しているが、ある学者によれば、わが国にはパチンコがあるため、ギャンブル関係の実質的支出は日本のほうがはるかに多いという。遊技機メーカーの上場は実現し、いまパチンコホール大手の上場が真剣に証券会社で検討されている。

パチンコ王国ジャパンの「負の現象」も見逃すことは出来ない。わが国のさまざまの犯罪や、反社会的組織の暗躍の影に、パチンコ業界からのカネの流れがあることは多くの犯罪研究者が認めている。別の社会問題として、射幸性の強いパチンコ、パチスロで大負けして、サラ金常習者となっている者の数の膨大さがある。どれだけ多くの家族が、身内のパチンコ狂いのために、泣いているのだろうか。サラ金業者が地方の駅前にずらりと店を構えていることと、パチンコの隆盛は深く結びついている。またパチンコ依存症は、いまや一部の精神科医の注目する研究対象となりつつある。自業自得と突き放すには、あまりに問題が深刻化しているからであり、その救済を精神医学的に考えていこうとするものである。おかしくないか。

そろそろ社会全体で、パチンコの弊害を考え、いま少し厳しい規制策を出す時期ではないか。愛好家自体が、パチンコホールから離れつつある。業界の分析によれば、かってはパチンコ人口は3千万人と言われたそうだが、今は1800万人しかいないという。まことに結構なことだが、逆に、それでも同じ売上げ30兆ということは、一人平均ではかえって支出は増えていて、問題はさらに深刻化しているともいえる。いちばん良いのは業界自身が、自主規制に踏み出すことだ。その意味で、現在行われ始めた業界の機種規制はけっこうなことだ。また今般のサラ金の上限金利規制もパチンコ売上げには逆風に働くだろう。

マーケットが大きいということは、すそ野が広くそこに関係する人が多く、規制を強めれば、あるいは売上げが減退していけば、経済的影響も大きいということだが、筆者は別のことを考える。社会全体から見て、パチンコ関連の支出が減らせば、人々はもっと違った消費行動をとることができる。30兆の、たとえ5パーセントでも変われば、それは実に1兆5000億になる。それは地方の経済にも、確かな影響を与えるだろう。パチンコへの支出が減れば、外食産業等に落ちるお金は間違いなく増えるのである。
                                       (07年4月  K生)

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